HOME > 速報(平成24年度・疫学解析):β溶血性レンサ球菌~3. C,G群溶血性レンサ球菌(SDSE)

速報(平成24年度・疫学解析)~β溶血性レンサ球菌

III. β溶血性レンサ球菌

3. C,G群溶血性レンサ球菌(SDSE)

1) 疾患と年齢分布

図-21には,2年半の間に収集され,Streptococcus dysgalactiae subsp. equisimilis(SDSE)であることが確定された608株の患者年齢と疾患との関係を示します。β溶血性レンサ球菌の中では常に最も症例数が多いのはSDSEです。

正式な菌名が付けられる以前は,G群溶血性レンサ球菌として病原性は低いとみなされ,ほとんど注目されていませんでした。しかし,図に見られるように,高齢者の急増とともに本菌による侵襲性感染症が目立つようになりました。20歳以下での本菌による感染症は極めてまれで,50代から症例が増加し始め,80歳代にピークが認められます。

昨年の報告書でも述べましたが,SDSEはGASに近似したレンサ球菌で,ゲノムレベルでも高い相同性があります。しかし,GASの保持する付着や免疫回避,あるいは組織侵襲性に関わるいくつかの病原遺伝子が認められない菌種です。GASに較べてSTSSや壊死性筋膜炎とった重症感染症が少ないのはこのことによると思われます。

ただし,SDSEによって惹起される感染症はGASによるものと非常に似ています。敗血症に加え,その大半が蜂窩織炎,化膿性関節炎などの化膿性疾患であることが特徴です。特に骨頭置換術等を受けている高齢者では要注意です。

なお,本菌が主として棲息している部位は口腔,あるいは腸管と推定されますが,どの程度のヒトがキャリアーであるのかよく判っていません。通常は常在菌でありながら,何らかの要因によって血流中に迷入しますと末梢血管に留まり,その部位で増殖し,蜂窩織炎のような化膿性疾患を惹起するものと推定されます。

これらの症例の予後についてですが,死亡例が13.2%,後遺症を残した例が3.6%認められ,合計しますと16.8%が予後不良という結果でした。

2) 経年的emm型の変化

図-22には,2006年,2010年,および2011年以降のSDSE株のemm型別の成績を示します。依然としてstG6792が優位に分離されています。次いで多いのはstG485stG245ですが,最近では今までに分離されていなかったタイプの菌株も認められるようになってきています。

3) SDSEのemm型と予後との関係

図-23には,死亡との関係が明らかにされた57例における在院日数と菌のemm型との関係を示します。分離頻度が常に高いstG6792株とその他に分けて集計しています。死亡例全体の38.6%においてstG6792が原因菌で,その割合がやや高い成績となっています。しかし,GASにおけるemm1型のような明確な違いは認められません。GASほどではありませんが,入院後4日以内と比較的早い段階での死亡例の多いことが注目されます。

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